ベリリウム銅の特長
- 熱伝導率
- 合金により 130〜245W/m・℃の熱伝導率を有し、効率の高い放熱が必要な用途で利用されています。
- 硬さ
- 析出強化により、HRB98~HRC40と鉄鋼材料に比肩する硬さを実現し、銅合金中最高の強度を有します。
- 導電性
- 合金により、32〜58%IACSの導電率を有し、高電流密度を必要とする用途で利用されています。
- 耐食性
- 耐食性に優れた銅合金中で鉄鋼材料並みの強度を有する上、ステンレス鋼等で生起するすきま腐食が起こらないため、長期の環境耐食性が必要な用途で利用されています。
ベリリウム銅の形状、用途、関連規格
特長 | 合金名 | 商品名 | 形状 | 用途例 | 関連規格 | ||||||
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丸棒 | プレート | 金型 | 電極 | 航空機 | CDA | JIS相当 | ASTM | RWMA | |||
高強度 合金 |
BeA-25 | ULTRA SUPRA II |
● | ● | ● | ● | ● | C17200 | C1720 | B196 | Class4 |
高熱伝導度 合金 |
BeA-11 | PLUS | ● | ● | ● | ● | ― | C17510 | C1751 | B441 | Class3 |
各種ベリリウム銅合金の化学成分、特性
化学成分
成分 | 高強度合金 |
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BeA-25 ULTRA / SUPRA II |
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Be | 1.80 - 2.00 |
Co+Ni | 0.20 min. |
Ni+Co+Fe | 0.60 max. |
Cu+Be+Ni+Co+Fe | 99.5 min. |
成分 | 高熱伝導度合金 |
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BeA-11 PLUS |
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Be | 0.20 - 0.60 |
Ni | 1.40 – 2.20 |
Cu+Be+Ni | 99.5 min. |
ベリリウム銅の特性
項目 | 単位 | 高強度合金 | 高熱伝導度合金 | ||
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BeA-25 | BeA-11 | ||||
ULTRA | SUPRA II | PLUS | |||
物理的特性 | 熱伝導率 | W/m・℃ | 130 | 145 | 245 |
導電率 | lACS% | 32 | 38 | 58 | |
比重 | 8.26 | 8.75 | |||
溶融点 | ℃ | 865〜980 | 1004〜1070 | ||
平均線膨張係数 | (20〜200℃) | 17.8×10-6 | 17.6×10-6 | ||
体積抵抗率 | µΩ-cm | 6.0〜7.8 | 2.9〜3.4 | ||
比熱 | (30〜300℃) J/(kg・K) | 419 | 419 | ||
縦弾性係数 | kN/mm2 | 127 | 132 | ||
磁性 (透磁率) |
なし (1.000042) |
なし (1.000031) |
|||
機械的特性 | 硬さ | ロックウェル | C 40 | C 32 | B 98 |
記載されている特性値は参考です。 形状により差異があります。
熱伝導率は電気伝導率の実測値より算出した値です。
ベリリウム銅の硬さと熱伝導率の関係

- 一般的に強度の高い材料は、熱伝導率が低くなります。
- ベリリウム銅は強い強度を有しながら、高い熱伝導率を示し、効率的に熱を逃がします。