
フラッシュの回避
鋼材(例えばSKD61)のチルベントでは、溶けたアルミニウムの凝固が遅れ、吹き出し(フラッシュ)の危険を伴います。
鋼材の最大7倍の熱伝導性をもつベリリウム銅のチルベントでは、優れた熱吸収能力により、金型内のエアを速やかに逃がすと同時に溶湯の流動停止を瞬時に行い、フラッシュを回避することが可能です。

不良率の激減
高い冷却効果によりガス排気断面積を大きく設定でき、速度、圧力など鋳造条件の自由度を拡大できます。
また、ガス抜き効率が飛躍的に向上し、リーク不良率を激減することが可能です。
実験データ
製品名:トランスミッションケース
ダイカスト機:1,600トン
ゲート速度:48m/s
ベント設定:12山
ダイカスト機:1,600トン
ゲート速度:48m/s
ベント設定:12山

アルミ焼付き防止
鋼材(例えばSKD61)のチルベントでは、Al-Fe系化合物層が形成され「焼付き」の原因になります。
また、化合物層を起点にアルミが付着(ハリツキ)して肉厚拡大となり、亀裂やクラック等の不具合を発生する場合があります。
ベリリウム銅ではAl-Cu系の化合物層を作らず焼付きを防止するため、清掃などメンテナンスフリーな上、生産トラブルの抑制といったメリットも発揮します。

コンパクト化
鋼材急速冷却で、従来よりもコンパクトな設計が可能となります。
また、金型面積の制約も軽減されますので、例えば、チルベントの長さを従来の半分にすることが可能です。
実験データ
チルベントモデル:E-CL9(Cブロック)
クリアランス:0.9mm
溶湯材質:ADC12 ゲート速度:10m/s
Al溶湯温度:580℃ Al凝固温度:515℃
クリアランス:0.9mm
溶湯材質:ADC12 ゲート速度:10m/s
Al溶湯温度:580℃ Al凝固温度:515℃

ハイブリッド式チルベント
チルベントの材質は、主に高熱伝導度合金のBeA-11 〔NGK 商品名:PLUS〕になります。
ダイカストの製造条件が過酷な条件の場合は、溶損やクラックの発生が懸念されます。
その対策として、ベリリウム銅のベースに鋼材(SKD61)を入子で補強した「ハイブリット式チルベント」が有効となり、長寿命化に寄与します。